ゆく。

生活に発見を

1年め

9月21日でカナダに来て1年が経過しました。「月日が経つのが早かった」というと少し嘘になりますが、思い返せばあっという間だったかもしれません。

 

そもそもほとんど無計画のまま渡航を決めたので、心が身体に追い付かないままここにやってきたわけですが、この1年本当に色々なことがありました。

学校が始まった当初は、本当に毎日泣いていたし、数か月経ってカナダの生活に慣れても、やっぱり学期の初めと終わりには泣いていて、涙を流さずに新学期に上がるということはありませんでした。

留学って本当に辛いものなんだと身をもって感じた1年でした。

 

言語面が一番大きな要因です。伝えたい、伝わらない、話をしたい、聞きとれない、声をかけられて失敗したらどうしよう、そうだ黙っていよう。1年をかけてようやく英語力は伸びてきたものの、日本に居た時と比べると断然人見知りがひどくなっている気がします。自分の言語力がこんなにもネックになるとは思ってもいませんでした。

それに伴って、文化面にも大きな影響を受けました。カナダでは「黙って意見を伝える」なんてものは存在しなくて、意見を述べるには声を上げなくてはいけません。会話の中に”立って”いても、言葉を発さなければ意味がない。ここでは沈黙は美徳でもなんでもなくて、沈黙を主張する人間は透明人間と化してしまうんです。

様々な人種に囲まれて、母国語でない言語を使用せざるを得ない状況に放り込まれた渡航初期の私の心の中は、不安ばかりでした。自分が何者なのかを見失うということがどういうことか、どんなに怖いことか、その時初めて知りました。「日本に居たときの自分を忘れたくない。このまま”自分”を見失ってしまったらどうしよう」と強く感じていたことを今でも覚えています。

第二言語を自分の意思で使えるようになるまで、相当の時間が掛かりました。今もまだ英語レベルとしてはままならないものの、あの恐怖はもう感じることはなくなりました。英語への慣れや、語彙の増加が大きな理由だと思います。日本語を話す私と、英語を話す私の、ある種の性格的な差異のギャップも、少しずつ縮まってきているような気がします。

 

1年と行っても、途中で日本に数週間帰国したりしているので厳密には365日間ではありませんが、そうは言っても1年に値するたくさんのことを学び、経験しました。去年の私よりは大きく成長している、ということは自信を持って言えるし、ここまで頑張った自分自身をしっかりと褒めてあげたい。楽しいとは一概には言えませんが、実りのある1年だったと思います。

 

卒業まであと半年。もう辛くて、自分に逃げ道を作ってあげないといけないところまで来ていますが、頑張ってやり切りたい。自分に甘えながらなら、私でもやっていけると思うし、やり切って大きく成長して、日本に帰りたい。

とりあえずは年末まで、ゆっくりと自分の足取りで進んでいこうと思います。